この記事の結論
- 病院寮と賃貸一人暮らしの差は、2年間で150万円前後になることが多い。
- 貯蓄と資産形成のスタートだけ見れば、寮が有利になりやすい。
- ただし金額がすべてではない。職住の距離感とQOLは人によって正解が違う。
研修先が決まると、次に決めるのが住まいです。病院の寮(職員宿舎)に入るか、自分で部屋を借りるか。マッチング後のこの選択は、研修2年間の貯蓄額を大きく左右するのに、金額を計算して比べる人は意外と少ないです。
先に伝えたいのは、これは「安いほうが正解」という単純な話ではないことです。寮の安さには理由があり、一人暮らしの高さにも価値があります。まず金額の差をはっきりさせて、そのうえで金額以外の判断軸を見ていきます。
2年間でいくら変わるか:概算で比べる
地方都市で研修する場合をモデルに、ざっくり試算します(金額はあくまで目安です。都市部では賃貸側がさらに高くなります)。
| 項目 | 病院寮 | 賃貸一人暮らし |
|---|---|---|
| 家賃(月) | 5,000円〜3万円 | 5〜8万円+共益費 |
| 初期費用(敷金・礼金・仲介料など) | ほぼゼロ | 家賃の4〜5か月分(25〜40万円) |
| 家具・家電 | 備え付けのことが多い | 20〜30万円 |
| 通勤 | 徒歩圏が多い | 交通費・通勤時間が発生 |
仮に寮が月1万円、賃貸が月6.5万円(共益費込み)とすると、家賃差は月5.5万円、2年間で132万円です。これに初期費用と家具家電の約50万円を足すと、2年間の差は約180万円になります。寮がもう少し高くても、100万円台の差は残る計算です。
この差額をそのままNISAの積立に回せば、研修2年間で資産形成の土台が一気にできます。月5万円の積立は、研修医の手取りでは普通かなり頑張る金額ですが、寮を選ぶだけで「頑張らずに」捻出できてしまうわけです。
確認すべきは「住宅手当」の有無
試算の前に必ず確認してほしいのが、病院の住宅手当(家賃補助)です。
病院によっては、寮がない代わりに月2〜3万円の住宅手当が出る、指定の借り上げ住宅なら自己負担が少ない、といった制度があります。住宅手当が厚い病院なら、賃貸との実質差はぐっと縮まります。逆に手当がない病院での一人暮らしは、上の試算がほぼそのまま自己負担です。
募集要項の「宿舎」「住宅手当」の欄と、実際の支給条件(上限・対象となる物件の条件)を、できれば先輩研修医にも聞いて確認してください。
金額以外の判断軸
寮のメリットと代償
寮の良さは安さと近さです。徒歩数分で帰れる生活は、当直明けや呼び出しのある生活と相性が良く、通勤時間ゼロは睡眠時間に直結します。
一方で、職場との距離が近すぎる代償もあります。オンオフの切り替えがしづらい、休日に病院が視界に入る、隣人が同僚なので生活音や生活時間を気にする、設備が古い寮もある、といった声は定番です。「家にいても病院の延長」という感覚が合わない人には、安くてもしんどい環境になります。
一人暮らしのメリットと代償
一人暮らしの価値は、生活を完全に切り離せることです。病院から離れた部屋に帰る、好きな家具を置く、誰にも気を使わない。この回復効果を「月5万円の価値がある」と感じる人は確実にいます。
代償はもちろんお金と、通勤時間です。呼び出しの多い診療科をローテートする時期は、距離がそのまま負担になります。
折衷案もある
最初の1年は寮で貯めて、生活が見えてきた2年目に引っ越す。あるいは寮に入りつつ、合わなければ早めに出る。寮の退去条件と、賃貸の契約期間・短期解約違約金は物件ごとに違うため、途中で住み替える可能性がある人は契約前に確認してください。
手取りから逆算して決める
最後はお金の現実に戻ります。研修医の手取りは給与、住民税、社会保険料、当直手当などで変わります。そこから家賃・食費・通信費を引いた残りが、貯蓄と自己投資の原資です。
家賃の目安としてよく言われるのは手取りの3分の1以下ですが、研修医の場合は「家賃を抑えた分が、そのまま資産形成のスタートダッシュになる」という時期でもあります。住まいにどこまで払うかは、2年後にいくら手元に残したいかから逆算して決めるのが現実的です。
→ 手取りの考え方は 住民税はいつから?研修医2年目の6月に手取りが急減する理由 も参考にしてください。
まとめ
- 寮と賃貸の差は2年間で100万円台になることが多い(地域・手当で変動)
- 住宅手当の有無と条件を先に確認する。差が大きく縮まる場合がある
- 寮は「安い・近い」、一人暮らしは「切り替えられる」。どちらの価値を取るかは性格次第
- 迷ったら「まず寮で始めて、合わなければ引っ越す」が損の少ない順番
まずは研修先の募集要項で、寮の家賃と住宅手当の条件を確認するところから始めてみてください。
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免責事項
本記事の金額はすべて一般的な目安であり、実際の家賃・初期費用・手当は地域・病院・物件によって大きく異なります。住まいの契約条件は必ず各病院・不動産会社の最新情報でご確認ください。


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