奨学金返済中でもNISAを始めていい?【若手医師の考え方】

奨学金返済中でもNISAを始めていい?【若手医師の考え方】 NISA・投資
奨学金返済中でもNISAを始めていい?【若手医師の考え方】

この記事の結論

  • 奨学金返済とNISAの積立は、多くの場合で両立できる。
  • 判断材料は「生活防衛資金・奨学金の金利・無理のない積立額」の3つだ。
  • ただし金利の高い借入がある人や、返済が生活を圧迫している人は返済を優先したい。

医学部の6年間で奨学金を借りると、卒業時の総額が数百万円になる人は珍しくありません。研修医になって返済が始まると、「この状態で投資なんて始めていいのか、まず返すべきじゃないのか」という迷いが出てきます。

自分は奨学金を借りていない立場ですが、同期との間でこの話題は何度も出ました。「借金があるのに投資はおかしい気がする」という感覚と、「若いうちに積立を始めたほうがいいと聞く」という知識がぶつかって、結局どちらも中途半端になっている人が多い印象です。

この問題は、感覚ではなく3つの数字で整理すると答えが出しやすくなります。順番に見ていきます。


先に確認:自分の奨学金の種類と金利

判断の前提として、自分が借りている奨学金の種類と金利を確認してください。ここが分からないまま悩んでも答えは出ません。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は大きく2種類あります。

種類 金利
第一種奨学金 無利子
第二種奨学金 有利子(上限は年3.0%。利率は貸与終了時に決定)

第二種の利率には固定方式と、おおむね5年ごとに見直される方式があります。JASSOの公表値では、2026年4月に貸与終了した基本月額の年利は固定方式2.722%、見直し方式1.874%、2026年5月は固定方式2.922%、見直し方式2.000%でした。適用される利率は貸与終了月や選択方式で異なるため、自分の利率は返還誓約書やスカラネット・パーソナルで確認してください。

※出典:日本学生支援機構「第二種奨学金の貸与利率」(確認日:2026年6月11日)

医学生の場合は、自治体や病院の「地域枠」「修学資金」型の制度を利用している人もいます。返還免除の有無、必要な勤務先・診療科・期間、途中離脱時の扱いは制度ごとに異なります。JASSOと同じ前提で判断せず、契約書と実施主体の最新案内を確認してください。


判断軸①:生活防衛資金が先

奨学金とNISAのどちらが先かの前に、生活防衛資金(手取りの3か月分程度の現金)があるかを確認してください。

引っ越し、医師賠償責任保険、専門医試験の費用、急な帰省。若手医師の生活では、まとまった出費が突然きます。ここが空のまま積立や繰上返済にお金を回すと、いざというときにNISAを取り崩したり、それこそ高金利のカードローンに頼ったりすることになり、本末転倒です。

生活防衛資金がまだない人は、NISAも繰上返済も少額にとどめて、まず現金を貯めるのが先です。


判断軸②:奨学金の金利と期待リターンを比べる

生活防衛資金が確保できたら、次は金利の比較です。考え方はシンプルで、「繰上返済は、奨学金の金利と同じ利回りの確実な運用」とみなせます。

  • 第一種(無利子)の繰上返済は、利回り0%の運用と同じです。急いで返すお金があるなら、長期の積立に回すほうが合理的になりやすいです
  • 第二種は貸与終了月と方式によって利率が異なります。2026年4月・5月の固定方式は年2.7〜2.9%台で、以前より金利差が小さくなっています。投資の期待リターンだけで「投資が有利」とは断定できません
  • 奨学金以外にカードローンなど、より高金利の借入があるなら、その返済を優先する考え方が堅実です

「無利子なら並行を検討しやすい。有利子なら自分の適用利率を見て判断する」という整理が現実的です。ここで大事なのは、繰上返済による利息負担の軽減は確実ですが、投資のリターンは不確実という違いです。不確実さを受け入れられるかも判断に入れてください。


判断軸③:返済しながら続けられる積立額にする

並行すると決めた場合も、積立額は控えめに設定してください。

毎月の奨学金返済額を固定支出として先に確保し、その上で生活が苦しくならない範囲の積立額を決めます。月1万円でも、30年続けば元本は360万円です。運用結果は相場や商品、手数料によって変わるため、将来額を前提に返済計画を組まないでください。

積立額はいつでも変更できます。返済が終わったタイミングで、返済に充てていた分をそのまま積立に上乗せすると、無理なく加速できます。


繰上返済したい気持ちも間違いではない

数字の上では低金利の奨学金を急いで返す必要はなくても、「借金がある状態が落ち着かない」という感覚は無視しなくていいと思います。

借金の心理的な負担が減ることで仕事やお金の判断が落ち着くなら、それは数字に表れないリターンです。逆に、返済がきつい時期には、JASSOには毎月の返還額を減らす減額返還制度などの仕組みもあります。無理してでも早く返す一択ではなく、制度も使いながら自分のペースで返す選択肢があることは知っておいてください。


まとめ

  • まず自分の奨学金の種類(第一種・第二種・免除型)と利率を確認する
  • 生活防衛資金(手取り3か月分)の確保が、積立より繰上返済より先
  • 第一種は並行を検討しやすい。第二種は自分の適用利率を確認して返済と積立の配分を決める
  • 数字だけでなく、借金の心理的負担も判断材料に入れていい

最初の一歩として、返還誓約書かスカラネット・パーソナルで自分の貸与利率を確認してみてください。判断はそこからです。


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免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入や返済方法を推奨するものではありません。投資は元本保証ではなく、損失が生じる可能性があります。奨学金の利率・制度は変更される場合があるため、最新の情報は日本学生支援機構の公式サイトでご確認ください。返済と投資の最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

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