この記事の結論
- 病院だけから給与をもらう研修医は、年末調整で完結し確定申告は原則不要だ。
- バイトや副業だけでなく、給与収入2,000万円超など申告が必要になる条件がある。
- 今のうちは、源泉徴収票を捨てずに保管しておけばいい。
「確定申告って、自分はやらなくていいんだっけ」。2〜3月になるとSNSやニュースで確定申告の話題が流れてきて、毎年なんとなく不安になる。でも調べ始めると情報が自営業者向けばかりで、結局よく分からないまま終わる。研修医のころの自分がそうでした。
先に答えを言うと、研修医のうちは確定申告が不要な人がほとんどです。ただし医師はキャリアが進むにつれて「必要になるケース」に当てはまりやすくなる職業なので、どのケースで必要になるかだけ知っておくと、そのときに慌てません。
医師に関係しやすい条件に絞って整理します。
確定申告とは:年末調整でカバーされない分の精算
確定申告は、1年間(1月〜12月)の所得と税金を自分で計算して、翌年の2月16日〜3月15日ごろに国へ申告する手続きです。
「自分には関係ない」と感じるのは、勤務医の所得税は年末調整で精算されているからです。病院が毎月の給与から所得税を概算で天引きし、12月に過不足を調整してくれています。給与が本業の1か所だけなら、これで完結します。
確定申告が必要になる条件は複数あります。ここでは、勤務医が該当しやすい条件と、申告すると控除を受けられる代表例を分けて見ていきます。
医師が確定申告を確認したい主なケース
① バイト(外勤)を始めた
専攻医になってバイトを始めると、給与が2か所以上になります。2か所以上から給与を受ける人は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合などが申告対象です。
ただし、20万円基準には所得控除の状況などに応じた例外があります。「バイト収入が20万円を超えたら全員」と単純化せず、本業とバイト先の源泉徴収票をそろえて国税庁の判定条件を確認してください。源泉徴収済みでも、申告の結果は還付になる場合と追加納税になる場合があります。
※出典:国税庁タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(確認日:2026年6月11日)
② 給与収入が年間2,000万円を超えた
その年の給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。複数の勤務先から給与を受ける医師は、各源泉徴収票の「支払金額」を合計して確認します。
③ ふるさと納税でワンストップ特例が使えない
寄付先が6自治体以上になった場合や、ワンストップ特例の申請期限(翌年1月10日必着)に間に合わなかった場合は、確定申告で寄附金控除を申告します。
注意点として、①のバイトなどで確定申告をする年は、ワンストップ特例で申請済みの寄付も無効になり、申告に含め直す必要があります。バイトを始めた年のふるさと納税はここでつまずきやすいので覚えておいてください。
→ 研修医のふるさと納税どうやるか【手順・ワンストップ特例】
④ 医療費控除を使いたい
医療費控除は、その年に支払った対象医療費から保険金などで補てんされた額を引き、さらに10万円を差し引いた額が基本です。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。控除額には上限があります。
医師自身も、歯科矯正(治療目的の場合)、出産、家族の入院などで医療費がかさんだ年は対象になり得ます。生計を一にする家族の分も合算できるので、結婚している人は世帯で集計してください。
⑤ 原稿料など給与以外の所得がある
原稿料、講演料、医学書の執筆、ブログやSNSの収入など、給与以外の所得がある場合は申告要否を確認します。判定に使うのは原則として「収入」ではなく、必要経費を差し引いた「所得」です。給与が1か所で年末調整済みの場合、給与・退職所得以外の所得が20万円を超えることが代表的な申告条件です。
所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。居住する自治体の案内を確認してください。
義務ではないが「したほうが得」なケース
確定申告は義務のケースだけでなく、自主的にすると税金が戻るケースもあります。
代表的なのは、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合や、災害・盗難にあった場合などです。還付のための申告は対象の年の翌年から5年間できるので、「あのとき申告していれば」と気づいた分も遡って取り戻せる可能性があります。
やり方はスマホでほぼ完結する
確定申告と聞くと税務署に並ぶイメージがあるかもしれませんが、国税庁の確定申告書等作成コーナーとe-Taxを使ってオンライン申告できます。対応するスマートフォンとマイナンバーカードなど、利用方法に応じた準備が必要です。
必要になるものは、おおむね次のとおりです。
- マイナンバーカード(とスマホ)
- 本業とバイト先すべての源泉徴収票
- ふるさと納税の寄附金控除に関する証明書(または受領証明書)
- 医療費控除を使う場合は医療費の明細
ここで効いてくるのが書類の保管です。源泉徴収票は再発行に時間がかかることがあるので、もらったらスマホで撮影してクラウドに保存しておくと、申告のときに探さずに済みます。
まとめ
- 給与が本業1か所だけの研修医は、年末調整で完結し確定申告は原則不要
- バイト、給与収入2,000万円超、ふるさと納税の例外、医療費控除、給与以外の所得などを確認する
- 確定申告をする年はワンストップ特例が無効になる点に注意
- e-Taxとマイナンバーカードでスマホ申告できる。源泉徴収票は捨てない
今日やることは1つだけです。手元の源泉徴収票(とバイトを始めた人はバイト先の分)を撮影して保管しておいてください。
次に読む記事
- ふるさと納税と申告の関係を整理したい人へ:研修医のふるさと納税どうやるか【手順・ワンストップ特例】
- 住民税の仕組みも知っておきたい人へ:住民税はいつから?研修医2年目の6月に手取りが急減する理由
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談に代わるものではありません。確定申告の要否・税額は個人の状況により異なります。制度・期限は変更される場合があるため、最新の情報は国税庁の公式サイトまたは税務署・税理士にご確認ください。記載内容は2026年6月11日時点の確認に基づきます。


コメント