この記事の結論
- 研修医はNISAが先でいい。iDeCoはその後で遅くない。
- 掛金が全額所得控除になる節税効果は、収入の高い医師と相性がいい。
- ただし60歳まで引き出せない。生活防衛資金とNISAを整えてからだ。
「医師は収入が高いから、iDeCoで節税しないと損」という話をSNSや同期との雑談で聞いて、気になっている人は多いと思います。NISAはなんとか始めたけれど、iDeCoまで手を回すべきなのか。正直、名前は知っていても中身はよく分からないという段階の人がほとんどです。
iDeCoの節税効果自体は本物です。ただ、NISAと違って「途中でやめて引き出す」ができない制度なので、20代の研修医がいきなり飛びつくと、結婚・引っ越し・開業資金などのライフイベントで身動きが取りにくくなる面があります。
NISAとiDeCoのどちらを優先すべきか、自分の状況でiDeCoを始めるべきかを判断できるように整理します。
iDeCoとは:自分で作る年金
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月掛金を出して自分で運用し、60歳以降に受け取る私的年金制度です。国の年金に上乗せする「自分専用の年金」と考えると分かりやすいです。
税制優遇は3段階あります(2026年6月時点)。
- 掛金が全額所得控除になる(毎年の所得税・住民税が軽くなる)
- 運用益が非課税になる(この点はNISAと同じ)
- 受け取るときも退職所得控除や公的年金等控除の対象になる
掛金の上限は、加入している公的年金の区分や勤務先の企業年金制度によって変わります。同じ勤務医でも勤務先によって条件が異なるため、病院の事務とiDeCo公式サイトで自分の上限を確認してください。
医師にとっての節税効果
iDeCoの節税の柱は「掛金の全額所得控除」です。これは税率が高い人ほど効きます。
軽減額は、おおむね「年間の掛金 ×
自分に適用される税率」で考えられます。ただし、実際の金額は課税所得やほかの控除によって変わります。具体額を知りたい場合は、iDeCo公式サイトの税制優遇シミュレーションなどで自分の条件を入力して確認してください。
研修医のうちは課税所得がまだ低めなので効果は控えめですが、専攻医以降にバイトで収入が増えてくると、税率が上がるぶん同じ掛金でも節税効果が大きくなります。「収入が上がるほどiDeCoの価値が上がる」のは医師のキャリアと相性がいい部分です。
始める前に知っておく注意点3つ
60歳まで引き出せない
最大の制約です。NISAはいつでも売却して現金化できますが、iDeCoの資産は原則60歳まで引き出せません。20代で拠出したお金は30年以上ロックされます。結婚、引っ越し、留学、開業など、医師のキャリアはまとまったお金が必要になる場面が多いので、「老後資金として完全に切り離せる金額」だけを入れる制度だと考えてください。
手数料がかかる
加入時、掛金の納付時、給付を受けるときなどに手数料がかかります。金融機関によって独自の運営管理手数料が加わる場合もあります。金額は変更される可能性があるため、加入前にiDeCo公式サイトと金融機関の手数料表を確認してください。掛金が少額だと手数料の比率が相対的に高くなる点は、NISAとの違いです。
受け取るときの税金は「非課税」ではない
iDeCoは受取時に退職所得控除などの対象になりますが、受け取り方や退職金との兼ね合いによっては課税が発生します。受取時の税制はここ数年で改正が続いている領域なので、「出口で必ず無税」とは考えないでください。受け取りは数十年先の話なので、今の時点では「控除の枠内なら有利」程度の理解で十分です。
NISAとどっちが先か
順番で迷っているなら、生活防衛資金 → NISA → iDeCo
の順をすすめます。
理由は流動性です。NISAは「老後にも使えるが、途中で必要になれば引き出せる」のに対し、iDeCoは老後専用です。20代のうちは人生の変数が多すぎるので、まず自由に動かせる資産(生活防衛資金とNISA)を育てて、それでも余裕がある分をiDeCoに回すのが安全な設計です。
具体的には、NISAの積立が生活を圧迫しない金額で安定して続いていて、さらに毎月手元にお金が残る状態になってから、老後まで使わないと決められる範囲でiDeCoを検討するくらいの温度感で十分です。
iDeCoは制度改正が続いています。将来の拠出上限や加入条件は、検討時点のiDeCo公式サイトと厚生労働省の案内を確認してください。
次の一歩は1つだけ
自分の病院に企業年金(退職金関連の年金制度)があるか、それとも共済組合の組合員かを、病院の事務に確認してください。iDeCoの掛金上限はそこで決まるので、検討はその確認からです。
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免責事項
記載している制度内容・掛金上限・手数料・改正予定は2026年6月時点の情報です。iDeCoの制度は改正が続いているため、加入前にiDeCo公式サイトおよび金融機関の最新情報を確認してください。
投資は元本割れの可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。個別の税務判断については税務署または税理士に相談してください。
参考情報・出典
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)(確認日:2026年6月12日)
- 厚生労働省「確定拠出年金制度」(確認日:2026年6月12日)


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